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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)66号 判決

東京都港区浜松町二丁目八番九号

控訴人

三協貿易株式会社

右代表者代表取締役

木村朝生

右控訴代理人弁護士

鎌田俊正

東京都港区芝五丁目八番一号

被控訴人

芝税務署長

小宮山優

右指定代理人

窪田守雄

郷間弘司

上原龍男

鈴木徹

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人の昭和五四年一〇月一日から同五五年九月三〇日までの事業年度の法人税について昭和五七年一月三〇日付けでした所得金額を九、二一九万二、九九二円(納付すべき税額三、五〇七万一、一〇〇円)とする更正のうち、所得金額二、九一二万二、九九二円(納付すべき税額九六六万二、六〇〇円)を超える部分及び重加算税の賦課決定を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二当事者の主張

原判決五枚目裏三行目に「本件」とあるのを削除し、同八枚目裏五行目に「本件」とある次に「重加算税」を、同八行目に「申告」とある前に「修正」を、同九枚目裏三行目に「しかるに、」とある前に「ところで、本件において控訴人の帳簿書類の記載内容の裏づけとなる資料は本件覚書及び金銭消費貸借契約書であるところ、本件更正の理由においては右覚書等の信憑性を否定しているのであるから、右否定の根拠となるべき他の信憑力ある資料を具体的に摘示することを要するものと解される。」を、同四行目に「資料」とある前に「右に述べたような他の」をそれぞれ加えるほかに、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

第三証拠関係

原審及び当審記録中の証拠に関する目録の記載を引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正・附加するほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これをここに引用する。

1  原判決一一枚目表三行目に「本件処分」とあるのを「本件処分等」と、同枚目裏五行目に「を弁済しないこと、」とあるのを「等を弁済、返還しないこと、」とそれぞれ改め、同八行目末尾に「第一二、第一三号証、」を加え、同一二枚目裏末行に「五七万円」とあるのを「六七万円」と改める。

2  同一四枚目裏七行目に「現に、」とある次に「東京」を加え、同一五枚目表三行目から四行目にかけて「成立に争いがない甲第一二ないし第一五号証、」とあるのを「前掲甲第一二、第一三号証、成立に争いのない甲第一四、第一五号証、」と改める。

3  同一五枚目裏九行目から一〇行目にかけて「決定をみていたことを認めるに足りる証拠はない。」とあるのを「決定をみていたものであるかについては、成立に争いのない甲第二〇、第二一号証の各一、原審証人大槻公雄の証言により成立の認められる甲第一六、第一七号証、右証言により原本の存在及び成立の認められる甲第一八、第一九号証、弁論の全趣旨により成立の認められる甲第二〇号証の二、第二一号証の二ないし四、第二二、第二三号証、右証言並びに原審における控訴人代表者尋問の結果によっても、いまだこれを認めるに足りず、そのほかにこれを認めるに足りる証拠はない。」と改める。

4  同一七枚目裏六行目から七行目にかけて「給付する約束」とあるのを「給付を約束すること」と改め、同一八枚目裏一行目の「し、」から同二行目の「ない」までを削除する。

5  同一九枚目表六行目冒頭に「弁論の全趣旨によれば、控訴人は青色申告の承認を受けた法人であることが認められるところ、」を加える。

6  同二二枚目表五行目冒頭から同七行目の「法の」までを「趣旨を記載したものと解することができる。そうであるとすれば、被控訴人としては、右のような内容の理由を記載することによって、本件更正における自己の判断過程を逐一検証することができるのであるから、その判断の慎重、合理性を確保するという点について欠けるところはなく、右の程度の記載でも課税庁の恣意を抑制するという理由附記制度の趣旨・目的を損なうことはないというべきであり、また、本件更正の理由の記載は、理由附記制度のもう一つの趣旨・目的である不服申立ての便宜という面からの要請に対しても、必要な材料を提供するものということができるのであって、前記のような内容を有する本件更正の理由附記は、法人税法一三〇条二項の」と改める。

二  そうすると、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 櫻井敏雄 裁判官 増井和男 裁判官 河本誠之)

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